石垣島〜沖縄の旅 南恩納トロピカル

沖縄旅行最終日は、沖縄本島の南恩納村で宿泊した。
南恩納村は、沖縄本島のちょうど真ん中辺り、読谷村より約20kmほど北へ進んだ場所に位置する小さな村だ。
今回、石垣島からわざわざ沖縄本島中部までやってきたのは、辺野古を一度自分の目で見たかったからなのだけど、辺野古から近く、またリゾートホテルではなく、地元に息づいた宿を探していて「南恩納トロピカル」を見つけた。

沖縄は、本島の人からすると読み方が分からないような地名が多い。
「 南恩納村 」も「 みなみおんなそん 」と読む。

「南恩納トロピカル」は建物の水色がとても可愛らしく、チャームポイントになっていて、家族経営で、等身大のおもてなしをしてくれる宿の雰囲気が、水色にピッタリ合っている気がした。

 

 

宿の窓からは、すぐ目の前に広がる海と干潟が見える。
運が良ければ、きれいな夕日が見えるというので、私たちは早速干潟へ繰り出した。

干潟をぶらぶらした後、小さな船着き場でのんびりサンセットを待っていると、
1羽のカラスが近くへやってきた。
後で聞いた話だと、実はこのカラス「カー子」という名前で、近所では知られたカラスらしい。

 

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その内に大きな夕日が海の上にゆっくりと降りてきた。

 

 

真っ赤な太陽が、穏やかな海をオレンジ色に照らして、さざ波が美しく揺れていた。
ゆっくりと流れる時間の中で、私たちはただ黙って、沈んでゆく夕日と海を眺めた。

 

 

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宿に帰ってから、夫が商店のおばあから聞いた、カラスのカー子の話をしてくれた。
このおばぁは南恩納トロピカルから歩いて徒歩5分のところにある、食べ物やお菓子
や雑貨などが置いてある商店のおばあさんで、魚のえさを飼いに寄った時に親しくなった人だ。
からすのカー子は、この近所でよく餌をあさっているカラスだそうで、おばぁが飼っている猫が、生んだ子猫をカー子に連れ去られてしまったのだそうだ。
そのせいで、猫が最近元気がないといいう。
おばぁにとって、カー子はとんでもない天敵カラスだが、その話をおばぁは笑いながらしていたという。
懐が深いというか、楽天的というか、猫はかわいそうだけど、おばあが明るいならなんか大丈夫かなという気持ちになるから、人間とは不思議なものである。

 

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夜、宿の家族も集まる食事の部屋で、カップラーメンにお湯をもらって食べていると、宿の女の子が、絵本を読んでとせがんできた。
彼女が持ってきた本の中には、あやとりの本など、幼い頃遊んでいた遊びやその頃
の記憶を思い起こさせるような内容のものがいくつかあった。
奥の方に眠っていた、記憶の扉が開いて、その時感じていた優しい空間懐かしい空間
がよみがえった。

旅先では、子供やお年寄りを含め、いろんな人と交流できることが楽しさの一つで
もある。
南恩納トロピカルもささやかだが、そんな温かく、懐かしい交流ができる宿である。

石垣島〜沖縄の旅 石垣島の宿 ティダヌファ

ティダヌファは石垣島の中心地にある宿だ。
中心地は、竹富島や西表島など離島にいく船の離発所を中心として
お店が賑わっている場所である。

ティダヌファは、宿全体が不思議な安心感に包まれたとても不思議な宿だった。
建物も年季が入っており、部屋も決して広くないが、ほっと一息ついて
旅の疲れを癒すことができる宿だった。
そして、この宿の一番のインパクトは何といっても屋上のおじーの存在だ。

屋上で洗濯物をしてもOKということで、石の階段を上って屋上へ。
すると、洗濯物干し場の奥に少し古ぼけた怪しげな部屋がある。
その日は部屋に誰もいなかったので、もう誰も使っていない部屋なのだと思っていた。
次に日にばったり会ってびっくりしたが、なんとここにはおじーが住んでいた。

おじーは、かつてのティダヌファを経営していた人である。
今現在はおじーの息子さん夫婦が宿をきりもりしている。
私も夫もおじーの朗らかな人柄に触れ、ちょっとしたサプライズな出会いに嬉しくなった。
ティダヌファを出発する日の朝、おじーの育てた植物や、昔はティダヌファのすぐ目の前まで
海だったことなど、話を聞かせてもらう。
最後は記念に、一緒に写真を撮ってもらった。

「また石垣島に来てくださいね。」

おじーの言葉に、また来たいなと思った。
小さな出会いにほっこりした、思い出の宿である。

石垣島〜沖縄の旅 – nico stay

2日連泊した宿「nico-stay」はインターネットでたまたま見つけた宿だ。
広々とした空間に、窓から海が見える、眺めの素晴らしい宿だ。
その場所でしか感じられない自然を感じられる場所であることが、サイトを通じて伝わってきた。

実際、とても素敵な宿だった。

車でぐんぐん坂道を登っていくと、可愛らしいオレンジ色の建物が見えてくる。
車を停めると、玄関のシーサーがとても愛嬌のある笑顔で出迎えてくれる。

 

そのシーサーの間を通り、グリーンや黄色の色鮮やかな大きな葉っぱのトンネルをくぐる。
トンネルを抜けると、視線の先にすぐ川平湾が広がってみえる。

そう、ここはnico-stay。思わず笑顔が広がる。

到着した私たちに、最初に挨拶してくれたのは、ゴールデンレトリバーのくるくる。
続いて現れたのは背の高い、浅黒でバンダナの良く似合う宿のご主人。
とても穏やかだけど、隙のない、不思議なオーラを持った方だった。

案内してくれた部屋は、無垢材の床や木の家具など、主に自然素材を使用した
とても心地のよいさっぱりとした内装で、手入れの良く行き届いた素敵な空間だった。
とてもさりげないけど、各所にこだわりが感じられる。
一つ一つ、とても良く考えて作られている宿だと思った。

川平湾を窓から一望できる場所にあるこの宿のすぐ後ろには、於茂登岳がそびえていて
自然の豊かな場所にあるだけあって、朝も夜も沢山の生き物達の声が聞こえる。
夜さかんに聴こえていた「ホー、ホー」という鳴き声はコノハズクだと教えてもらった。

朝食もとても美味しかった。
ふわふわの卵料理に、緑色がきれいな、新鮮な野菜料理がお皿に並ぶ。
大きな窓から朝の光が差し込み、刻々と移り変わる空の気配を感じることができる。
この朝食もやどの主人が作って用意してくれたものだ。

身体にいいご飯に、美しい朝日が差し込むこの空間がとても清浄な場所に感じられた。
清浄な空気の中で静かにご飯をいただく。

最終日には宿のアイドル(?)である、やはりゴールデンレトリバーのオージローが
私たちを接待してくれた。

大自然の中の、手入れのよくされた、素敵な宿を私たちは後にした。
今度泊まった時は、シーツと毛布を間違わずに寝ることができるだろう。